保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

横田滋さん死去について(2) ~植民地支配という「嘘」~

今でも戦前日本は朝鮮を植民地化して悪逆無道なことを行ったのであるから、日本人が北朝鮮に拉致されても仕方がない面があると思っている日本人が少なくないのだろうと思われる。実際、日本は植民地支配に対する国家的謝罪を繰り返している。

「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」(村山談話

 が、話はまったく逆である。日本は朝鮮を同化すべく「併合」し、インフラを整備し、教育を普及し、農業生産を高め、結果、32年の併合期間で人口は倍化したのである。どうして有りもしない<植民地支配>を謝罪するのか分からない。

 が、もっと分からないのは、事実に反するこのような談話を日本人が取り消そうとしないことである。日本のマスコミは言うに及ばず、国会議員の過半数は親中、親朝議員の反日議員なのであろう。日本人が拉致されても奪還しようとしない。日本が貶(おとし)められる談話が繰り返し出されるのを止めようともしない。まさに日本人の反日姿勢は「病膏肓(やまいこうこう)に入る」(病気がひどくなり治療のしようがない)と言ってよい。

《帰国を実現させようと奔走した滋さんのためにも、問題を風化させてはならない。政府は原点に戻り、対話解決に力を尽くしてほしい》(6月7日付東京新聞社説)

 私はこの<風化>という言葉にぎょっとする。明らかに拉致問題は<風化>の一途を辿っている。それも<風化>させることが唯一の「解決策」であるかのように。

 力ずくで奪還する気概もなく、足下を見られてしまっている日本に打つ手はない。政治家に出来るのは拉致問題解決に向けて誠意ある対応をしている振りをして見せるだけである。

 拉致した日本人が北朝鮮の内情を知ってしまっている以上、北朝鮮は拉致した日本人を返すはずがない。だとすれば、実力を行使して奪還するしかない。そのためには専守防衛憲法を改める必要がある。が、そのようなことを口にする政治家は私の知る限りでは青山繁晴自民党参院議員ぐらいしかいない。

《めぐみさんが行方不明になったのは1977年。その後20年を経て、やっと国会で北朝鮮による犯行が表面化した》(6月7日付朝日新聞社説)

 成程、具体的な手掛かりが得られたのは北朝鮮の元工作員金賢姫(キム・ヒョンヒ)の証言によるものであったが、1980年1月7日付産経新聞が「アベック3組ナゾの蒸発 外国情報機関が関与?」と題しマスメディアで初めて拉致事件を取り上げて以降、ずっと北朝鮮による拉致が疑われてきたにもかかわらず問題化しなかったのは、政治やマスコミに対する北朝鮮の影響力が大きかったからに相違ない。【続】