保守論客の独り言

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森友問題:遺族提訴について(2) ~妥当な売買取引~

2017年2月8日、大阪府豊中市木村真・市議会議員が、国(財務省近畿財務局)が森友学園に売った豊中市内の国有地だけ値段が情報開示されないとして情報公開の裁判を起こしたのが値引き問題の始まりである。

 木村市議は、関西地区生コン支部と地方議員ネットワークの副代表で、曰(いわ)く付きの人物であるが、ここでは措く。

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朝日新聞デジタル2017年2月9日 5時03分)

 不動産鑑定士が出した評価額9億5600万円の土地を近畿財務局は1億3400万円で払い下げた。これだと8億円以上も値引きされたということになる。そう聞くとほとんどの人が何故と首を傾げるに違いない。「何か大きな力が働いたのではないか」と疑いの目を向けるのも当然である。が、実際は次の表のごとくである。

  森友学園 豊中市
土地 豊中市野田町1501番 野田町1505番
面積 8770㎡ 9492㎡
売却時期 2016年3月 2010年3月
地価 9億5600万円 約14億円
ゴミ撤去費用 8億円超
国庫補助金 7億1193万円
交付金 6億9069万円
購入額 1億3400万円 2124万円

 豊中市が隣の土地を2124万円で手に入れていることを考えれば、森友学園の購入額1億3400万円はむしろ高いくらいである。

 また、ゴミ撤去費用が8億円超あることがおかしいとケチを付ける人もいるだろう。が、そもそも大量のゴミが埋まっている土地の評価額が9億5600万円というのがおかしいのではないか。

 ゴミが埋まっていることの瑕疵(かし)担保責任を免責することも含めての売買契約で購入額を1億3400万円としたことは常識の範囲内であろうと思われる。

 実際、瑕疵担保免責条項がなければ、訴訟沙汰になりかねないのである。

豊中市内の元国有地(売却時の所有者は新関空会社・森友学園問題の近隣地)を豊中市給食センター用地として7億7,000万円で購入。購入後の豊中市のボーリング調査で同じく地下埋設物(ゴミ)が発見され、その撤去費用として14億3,000万円を見込んでいる。現在この撤去費用について、豊中市と新関空会社が協議中。

この二つの事例とも、不動産(土地)の売買であるが、同じような事例であるにもかかわらず、「給食センター」の方は、ゴミ撤去費用の「協議中」である。この差は何に起因するのか。

これは、売買契約時の「瑕疵担保免責」の特約の有無が原因である。すなわち、森友学園と国との売買契約には「瑕疵担保免責」の条項があるが、新関空会社と豊中市との売買契約には、これが無かったということだ(西田昌司参議院議員義家弘介衆議院議員などの国会質疑等で明らかになっている)。

民法では、物件に「隠れたる瑕疵」があった場合、買主は瑕疵担保責任に基づく契約の解除又は損害賠償請求を、その事実を知った時から1年以内にしなければならない(570条、566条3項)と定められている。

「瑕疵担保免責」の条項がないため、豊中市民法の規定に基づき、損害賠償を請求することができる。つまり、契約時に、豊中市は地下埋設物が存在することを知らず(善意・無過失)、物件を購入してしまったため、その費用を新関空会社に負担させるべく「協議中」であるということだろう。

一方、森友学園と国との間の売買契約では、「瑕疵担保免責」の特約がある。この土地はいわゆる「訳アリ物件」であり、その分すでに値引きをしている。したがって、今後更に問題が発覚しても、売主(国)は責任を負いませんよということである》(健美家:「森友学園」問題、不動産投資家の目線で見ると?【続】