《外国籍の子どもには就学義務はないが、国籍を問わず、全ての児童に教育を受ける権利がある。日本も批准した「子どもの権利条約」に明示されている》(2月12日付西日本新聞社説)
子どもの権利条約第28条1項には次のようにある。
締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、
a. 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする。
b. 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。
c. すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
d. すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。
e. 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。
が、これは、締約国は自国の子供に対して教育を受ける権利を認めるということであって、<国籍を問わず、全ての児童に教育を受ける権利がある>と言うのは言い過ぎであろうと思われる。
実際日本国憲法第26条は、
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
のように「国民の権利」としており、教育基本法第5条も同様である。
国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
が、憲法では認められていなくても子どもの権利条約では認められているという捻じれた解釈も存在する。
《外国人が日本国憲法の人権享有主体となるのかという点は、最高裁のマクリーン事件判決(昭和53年10月4日)等の判例によると、憲法によって保障された人権の性質から外国人に対する人権を判断する、という性質説が主流となっていますが、外国人が教育を受ける 権利は憲法上では保障されていません。
その一方で、国民や外国人等の区別なく、すべての人の教育を受ける権利を保障した社会権規約第13条、18歳未満のすべての人の教育を受ける権利を保障した児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)第28条があり(両条文ともに初等教育は義務的で無償なものとして規定している)、日本はいずれの条文も批准していますから、日本においても条文上では外国人が教育を受ける権利は保障されているといえます》(伊藤塾「第36号 教育を受ける権利、およびその機会の保障について」)https://www.itojuku.co.jp/itojuku/afterpass/human-security/0036.html