保守論客の独り言

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安倍首相の野次「意味のない質問だよ」について(1) ~一国の首相を腐っていると侮辱する非礼~

《到底聞き流すわけにはいかない。安倍晋三首相が委員会審議中、野党議員に「意味のない質問だよ」とやじを飛ばした。行政監視や国政の調査を担う国会を冒涜(ぼうとく)する暴言だ。厳しい対処を求める》(2月14日付東京新聞社説)

 この野次は、立憲民主党辻元清美議員の質疑終了直後に発せられた。直前にどのような質疑があったのかを確認しておこう。

「総理、最後に申し上げる。『タイは頭から腐る』という言葉、ご存じですか。これは英語とかロシア語でもある。死んだ魚の鮮度は魚の頭の状態から判断できる。従って、社会、国、企業などの上層部が腐敗していると、残りもすぐに腐っていく。

総理が桜とか加計とか森友とか疑惑まみれと言われているから、それに引きずられるように官僚の示しがつかない。官僚の皆さん、かわいそうだ。心痛めてる官僚の方、たくさんいると思う。子どもの教育にも悪い。長期政権だからじゃないですよ。最初からやっているんだから、桜を見る会も。森友だって、総理大臣になる前から講演に行こうとしていた。

 ここまで来たら、原因はタイの頭。頭を代えるしかないのではないか。(首相は)私の手で憲法改正を成し遂げたいと(言っている)。総理の手で成し遂げることは、総理自身の幕引きだということを申し上げて終わる」(毎日新聞2020年2月13日 07時45分)

 このように一方的に暴言を吐き質疑を終わらせた直後、反論を許されなかった安倍首相が質疑の合間に「意味のない質問だよ」と言い返したのであった。これに辻元議員が「誰が言ったのか」のかとチンピラ紛いに難癖を付け騒動となったのである。

 百歩も千歩も譲って、首相が腐っているのだとしよう。当然、国会も腐っている。辻元議員も腐っている。腐った人間が首相は腐っていると言うことの不思議にどうして気が付かないのか。腐っているから仕方がない、そう思うより仕方ないのか。

 ちなみに<タイは頭から腐る>は「魚は頭から腐る」であろう。『鯛は頭から腐る』は佐高信氏の著作である。

 やれ「森友」だ、やれ「加計」だ、やれ「桜」だなどと言っている国会やマスコミこそが腐っているのではないか。国会やマスコミも、自覚は足りないが、れっきとした日本の<頭>である。

 今の日本には取り組まねばならない課題が山積している。政治も経済も教育もこのまま放置していては大変なことになりかねない。

 例えば、憲法問題で言えば、9条の非武装条項があるにも関わらず自衛隊が存在し、集団的自衛権行使を容認するまでに至っては、もはや「解釈改憲」の域を超えてしまっている。このような状態を放置し続けて「法治国家」を名乗るのはあまりにも非道徳である。【続】