《消費税率が10%に上がった1日夜、「消費税廃止」を看板に掲げるれいわ新選組の山本太郎代表がJR新宿駅西口で、マイクを握った。集まった多くの聴衆を前に「この経済状態で消費税は上げている場合でない。減税しかない、もっと言えば廃止しかない」。2時間に及んだ演説に、多くの人が足を止めて耳を傾けた》(朝日新聞デジタル2019/10/02 07:00)
減税を主張するのであるから、山本太郎氏は本来「自由主義者」のはずである。が、おそらく違うのだろう。大衆に媚びる意味で「消費税廃止」を唱えているのだとすれば、「大衆扇動家」(demagog)と呼ぶべきなのであろう。
朝日新聞もこのあたりの見極めが出来ずに、一旦は反安倍政権という意味で山本太郎氏を援護射撃しているのであろう。
《山本氏は消費税の使途をめぐり、「誰のための消費税か。あなたが払っている消費税は全額社会保障ではなく、大企業の大減税を進めるために取られている。むちゃくちゃ。どっち向いて政治やってるんだって話だ」と政権を批判》(同)
「消費税廃止」は明らかな「大衆扇動」である。もし現実的な話をするのであれば、「消費税廃止」と同時に、それに代わる税をどこからとるのかを言わなければならない。
《さらに「中小企業、零細企業がさらに首が絞まる。どうしても増税が必要なら、ないところからとるな。あるところから取れっていうのが当たり前だ」と述べ、持論の大企業・富裕層への課税強化を訴えると聴衆から「そうだ」と歓声が沸いた》(同)
もし大企業・富裕層へ課税強化すればどうなるか。おそらく大企業も富裕層も海外への脱出を図るに違いない。いわゆる「タックスヘイブン」である。つまり、大企業・富裕層を狙い撃ちにした増税は藪蛇だということである。
私はだから消費増税は致し方ないと言いたいのではない。増税は税収を増やすことに必ずしもつながらず、景気を後退させかねない。つまり、景気をよくして税収を増やすことを考えることが優先されなければならないのである。要は、どこから取るのかだけに目を奪われていてはいけないということである。
法人税の問題で言えば、税率の問題だけでなく、「租税特別措置」が気になる。税の公平性という観点からすれば、このような大企業優遇とされる特別措置は廃止し、税体系をもっと簡素化すべきではないか。
今の税体系は、複雑であるがゆえに何が本当なのかが見えなくなってしまっている。やはり”Simple is best”ではないだろうか。