保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

臨時国会開幕(2) ~ケチを付けないと気が済まない毎日~

《急速に進む少子高齢化への対応を「最大の挑戦」と位置づけたのは理解できる。しかし、首相の唱える「全世代型社会保障」の具体像どころか、新たに設けた検討会議の見通しすら示さなかった。国民の将来不安に応える姿勢とは言い難い》(10月5日付毎日新聞社説)

 安倍政権に残っているのは少子高齢化への対応ということなのであろう。私は戦後体制からの脱却こそが「最大の挑戦」だと思うが、安倍政権はこの金看板を下げてしまった。

 国柄、国家像といったものを顧みず、生者の安心安寧だけに目をやるやり方を私は理解しない。福祉政策を「最大の挑戦」という安倍政権は、やはり「左翼政権」と言わざるを得ない。毎日社説子は文句を付けるが、それは具体策を巡る話で、基本的には軌を一にしていると見るべきである。

《外交では、日米貿易交渉の合意内容に対し、一方的に譲歩を強いられたのではないかとの不安が国内にある。「双方にウィンウィン」と言うだけでは納得は得られまい》(同)

 今の日米の力関係からすれば、当然の帰結と言うべきであり、そのことがわかっていながらケチを付けても始まらない。

《ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は東アジア地域の大きな脅威となっている。それに触れずに日朝首脳会談への意欲を語ったのも解せない》(同)

 北朝鮮を批判するのは簡単である。が、ただ批判するだけでは何も得られない。北朝鮮には100人以上の拉致された日本人がいる。拉致問題をどうするのかを抜きにして批判だけしても始まらない。

 安倍首相は日朝会談を突破口としようとしているということであろうが、おそらくこれは無効である。北朝鮮の体制が変わらない限り、北朝鮮の内情を知る拉致された日本人が帰ってくることはないだろう。

 また会談にあたっては、たとえ人道的であれ食糧支援などを行うことは人権抑圧体制の延命に手を貸すだけであることは重々承知しておく必要がある。

《2040年ごろ、3人に1人が65歳以上になると見込まれる。社会の活力を維持するには、少子化に歯止めをかけるとともに、意欲ある高齢者や女性が働きやすい環境を整えることが欠かせない。

 首相は演説で、年金、医療、介護、労働の各分野の改革を進めると語った。具体策として、70歳までの就業機会の確保や厚生年金の適用範囲の拡大を挙げた》(10月5日付読売新聞社説)

 この読売社説は要注意である。今、人手不足が問題となっている。高齢者や女性が働くことによって不足を補おうということである。勿論、働き甲斐のある仕事なら問題はない。が、今の人手不足は低賃金で働く人の不足である。つまり、<意欲ある高齢者や女性が働きやすい環境を整える>とは、低賃金で高齢者も女性も働けということである。【続】