保守論客の独り言

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毎日社説:勘違いだらけの戦後日本外交論(1) ~米国隷属と連合国隷従~

毎日新聞社説子は言う。

《冷戦後の世界をリードした米国の影響力が後退し、台頭する中国やロシアが存在感を増している》(7月5日付毎日新聞社説)

 <台頭する>は冗語のように思うけれども、それは措こう。

 成程、米国の影響力が後退し中国が台頭してきたことは事実であろうが、私はここにロシアを加えることにやや違和感を覚える。軍事問題に関しては、確かにロシアの存在感は強いものがある。が、それだけである。日本人の多くがロシアを買い被り過ぎてはいやしまいか。

《世界の秩序の担い手がいなくなり、秩序再編が起こりつつある中、日本外交はどうあるべきなのか》(同) 

 <秩序再編が起りつつある>というのも何をもってこのように言っているのか私には分からない。「パクスアメリカーナ」が終焉(しゅうえん)を迎えつつあることは分かるが、その次はいまだ藪の中である。

《戦後の日本外交は、安全保障の土台である日米同盟基軸と国連中心の国際協調主義が2本柱だ》(同)

 これもおかしい。戦後、日本は米国に隷属してきただけであってとても米国と同盟関係にあったなどという話ではないように思われるが、これはひとまず措くとしよう。問題は<国連中心の国際協調主義>である。

 「国連中心主義」などというのも片思いの幻想というか、負け犬根性丸出しの話である。

 そもそも日本で「国連」と称するものは英語ではUnited Nations(UN)であり、要は第2次大戦の連合国のことである。そして日本はいまだUN憲章における「敵国」の状態にある。例えば、53条には次のように書かれている。

第53条

安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極または地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。

本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。

 常任理事国P5(米英仏露中)が全権を掌握し戦後世界を牛耳ってきたのがUNである。

 つまり、米国隷属と連合国隷従でやってきたのが戦後日本の外交であったというのが本当のところではなかったか。