保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

「非韓三原則」について(3) ~歪んだマスコミの正義面~

《政治的な目的に貿易を使う。近年の米国と中国が振りかざす愚行に、日本も加わるのか。自由貿易の原則をねじ曲げる措置は即時撤回すべきである。

 安倍政権が、韓国への輸出の規制を強めると発表した。半導体をつくる材料の輸出をむずかしくするほか、安全保障面で問題のない国としての優遇をやめるという》(73日付朝日新聞社説)

 どうして韓国への優遇措置をやめることが<自由貿易の原則をねじ曲げる措置>に当たるというのか。

《大阪でのG20会議で議長だった日本は「自由で公平かつ無差別な貿易」を宣言にまとめた。それから2日後の発表は、多国間合意を軽んじる身勝手な姿をさらしてしまった》(同)

 が、韓国を優遇するのをやめるだけで、今回の措置は<自由で公平かつ無差別な貿易>から離反するものではない。どうして朝日社説子はこのような分かり切った詭弁(きべん)を弄(ろう)するようなことを言うのだろうか。

《日本政府は徴用工問題を背景に認めつつ、「韓国への対抗措置ではない」などとしている。全く説得力に欠ける。なぜいま規制なのか、なぜ安全保障に関わるのか、具体的な理由を国内外に堂々と表明すべきだ》(同)

 韓国は日本から手に入れた物資を北朝鮮横流ししている疑いがある。フッ化ポリイミドは戦闘機、レジストはレーダー、フッ化水素VXガス・サリンの製造、またウラン濃縮過程でも使われる素材である。これはまさに安全保障に関わる問題である。だから必要以上の量の輸出はしないということにしたのである。韓国への優遇措置をやめることにしたのはむしろ遅すぎたくらいである。

《日本は今後の貿易をめぐる国際論議で信用を落としかねないうえ、日韓双方の経済活動に悪影響をおよぼす。そんな規制に矛盾した説明で踏み切るのは、無責任というほかない》(同)

 話は逆である。北朝鮮に核関連物質を横流ししているのが疑われるにもかかわらず、必要以上に韓国に物質を提供してきたことの方が余程問題であり国際的信用を失うものである。

《元徴用工問題に加え、日韓合意に基づく慰安婦財団の一方的な解散や、自衛隊機へのレーダー照射など関係悪化の責任の多くは韓国側にある。

 とはいえ、政治的な対立の場に通商政策を持ち出せば、報復の連鎖を招き、影響は世界経済全体に及ぶ。米中対立がそのリスクを示したからこそ、G20大阪サミットの首脳宣言は「自由で公平な貿易」の実現を掲げたのではなかったか》(73日付神戸新聞社説)

 <責任の多くは>ではない。関係悪化の「責任は」韓国側にある。が、多くのマスコミはこれを言わない。だから前提がおかしくなって、屁理屈が罷(まか)り通るのである。

 が、今回の措置は政治的対立が背景にあるとはいえ、韓国を優遇することをやめただけで<報復>などといった話ではない。米中貿易戦争のような「チキンレース」とは次元の異なる話である。

 自分の都合のいいように物事を歪めて見ていることに、たとえ今そのことに気づかないにしても、後から見ればそれが分かるだろうに。

 後で検証する気のない言い放しの発言など聞くに値しない。【了】