保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

平成日本について(1) ~刹那主義が蔓延した時代~

《日本は元号の二文字に託した願い通り平和な時代を過ごすことができたが、成長力の鈍化や人口減社会という新たな課題への処方箋を見いだせなかった30年でもあった》(4月30日付日本経済新聞社説)

 果たして平成は「平和」だったのか。「平和」だったと考えるのは、むしろ「平和呆け」なのではないか。

 平和だったのか平和でなかったのかは、おそらく「戦争」があったかどうかを判断としているのであろう。が、今や「戦争」は独り第2次大戦のような「熱戦」だけではなくなっている。

 20世紀の戦争は、主として領土を拡大するために「軍事力」を行使するものであったが、軍事力の行使には自分たちの被害も大きく、「費用対効果」の観点からも決して得策をは言えない。したがって、昨今では自国の領土を拡大するために別の手法が用いられている。例えば、「サイバー戦」「情報戦」といったものである。

 現代社会はネットワークで複雑に繋がれている。それは利点でもあり弱点でもある。便利でもあるが、そこには「脆弱性」が潜んでいる。一旦、このネットワークに侵入し、肝心要(かなめ)の部分を攻撃すれば、社会活動を麻痺させることが出来る。

 はたまた、歴史認識を巡る「情報戦」も精神的領土を拡大するための1つの「戦争」である。先の大戦において日本はアジアの国々に多大な迷惑を掛けたなどと日本は戦勝国史観の檻の中に閉じ込められ続けてきた。が、このようなことを言っているのはアジアの国々の中でもシナと朝鮮だけである。ここに共通するのは共産主義である。共産主義者たちが勢力の拡大を図って情報戦を仕掛けて来ているのである。

 それよりも何よりも、日本は戦後体制から脱却できていないという問題がある。沖縄米軍基地問題もその1つである。この問題を根本的に解決するためには、日米安全保障条約の見直しが必要であり、そのためには憲法9条の見直しがいる。そして米軍が日本から撤退する代わりに、国防軍を増強しなければならない。

 が、このような話は一朝一夕にどうなるものではない。中長期的視点が必要である。が、このような視点が日本にはまったくと言ってない。最右翼と目されている安倍政権の政策すら、戦後体制を見直すというよりも、むしろ戦後体制を強化しようとしているかのようである。

 「アベノミクス」と呼ばれる金融緩和政策にしても、短期的には有り得る政策ではあっても、これを続けることは中長期的にはむしろ有害である。円安株高によって不況にあえぐ既存の企業は一息ついた。が、これは延命措置を講じたに過ぎない。

 私は、円高という苦しい状態において「創造的破壊」(シュンペーター)を行うのが中長期的には絶対必要であったと思っているのだけれども、それが「アベノミクス」によっておじゃんになってしまった。言い方を変えれば、課題を克服するよりも、むしろ課題克服の芽を摘んだのが「アベノミクス」ではなかったかということである。【続】