保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

米韓軍事演習廃止について

《米韓両国が、朝鮮半島有事を想定し毎年春に実施してきた2つの大規模合同軍事演習の廃止を決めた》(37日付産經新聞主張)

 このことに対し主張子は、

北朝鮮に核・弾道ミサイルを放棄させようとしているときに、米韓両国が同盟の抑止力を弱める動きをするのは間違っている。極めて残念だ》(同)

と言う。が、イソップ『北風と太陽』ではないが、これまで通り軍事的圧力を掛け続けても、おそらく北朝鮮は、米国との唯一とも言える政治カード「核兵器」を放棄することはないだろう。むしろ、軍事圧力を弱め、「蛍来い」よろしく資本主義の「甘い水」におびき寄せる方が余程核放棄の近道であるようにも思われる。

 否、そんなことよりも韓国の文在寅大統領の親北朝鮮的姿勢を見れば、情報漏洩をはじめとして、合同演習が成立するようにはとても思われない。

ベトナムでの米朝首脳会談は物別れに終わった。今は、米韓や日米韓が協力して北朝鮮に一層の圧力をかけるときである》(同)

 海自哨戒機に火器管制レーダーをロックオンし、謝罪を拒むような国と協力などできるはずがない。主張子はどうかしている。

 一方、次のような意見にも私は賛成しがたい。

《先の米朝首脳会談で合意できなかった非核化交渉について北朝鮮に一定の配慮をすることで協議進展を促す狙いがあるとみられている。緊張緩和に寄与する動きであるには違いない》(35日付京都新聞社説)

 このような譲歩が北朝鮮に開発時間を与え、核保有国となることを許してしまったのである。次は米国にまで届く弾道ミサイルを開発することになるのだろう。

《次は北朝鮮が具体的な動きを示さなくてはならない》(同)

などという話は「寝言」に過ぎない。核放棄に先んじて圧力解除を行ってしまっては北朝鮮の思うつぼである。

《日本政府は米韓演習終了に関し、同盟国である日韓両国の防衛に対する米国の関与は揺るがないとしている。日朝交渉実現や拉致問題解決には米韓両国の協力が不可欠なためとみられる》(同)

 最近の韓国の動きを見ていてよくこのようなことが言えるものだ。国際ルールを守らない、兵器で威嚇する、日本製品不買法を画策する、天皇を侮辱する、こういった国が拉致問題解決に向けて日本に協力するなどということがどうして考えられようか。

《在韓米軍の即応能力や北朝鮮への抑止力が低下すれば日本の安全保障環境にも影響しよう。慎重に事態を注視する必要がある》(同)

 38度線から対馬沖に防衛線が変わったという認識のもとに、日本の防衛力強化は不可欠のように思われる。今後南北朝鮮が統一され、新たな核保有国が誕生するやもしれぬということまで想定し対応を考えるべき時に来ているのではないか。