保守論客の独り言

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「あなたに答える必要はない」と言ってしまった菅官房長官

菅義偉官房長官が記者会見で、東京新聞記者の質問に対し「あなたに答える必要はない」と回答を拒んだことが波紋を呼んでいる》(時事通信社 2/27(水) 17:12配信)

 菅官房長官回答拒否に対し、野党が非難の声を上げている。

立憲民主党辻元清美国対委員長は国会内で記者団に「記者に圧力をかけ、誠実に答えない。官房長官として失格だ」と非難。国民民主党玉木雄一郎代表も会見で「どんな時でも丁寧に、真摯(しんし)に答弁してほしい」と注文した》(同)

 官房長官はどんな記者の質問にも誠実に答えなければならないかのような反応であるが、果たしてそうか。

日本維新の会馬場伸幸幹事長は「(東京新聞記者の質問は)果たして質問なのか。単に持論を展開しているだけではないか。長官に同情する」と語った》(同)

 では具体的にどのような遣り取りだったのか。

【午前】

望月衣塑子東京新聞記者: 上村(秀紀首相官邸報道)室長の質問妨害について聞く。1月の(自身の)質疑で1分半の間に7回妨害があった。極めて不平等だ。妨害が毎回、ネットで拡散されることが政府にとってマイナスだと思っていないのか。

菅義偉官房長官: 妨害していることはあり得ない。記者の質問の権利を制限することを意図したものでは全くない。会見は政府の公式見解を(記者の)皆さんに質問いただく中で国民に伝えることが基本だ。だから経緯(の説明)ではなく、質問にしっかり移ってほしいということだ。

記者: 妨害ではないというのは事実誤認ではないか。非常に違和感がある。政府が主張する事実と取材する側の事実認識が違うことはあって当然だ。今後も政府の言う事実こそが事実だという認識で、抗議文をわが社だけでなく他のメディアにも送るつもりか。

長官: 事実と違う発言をした社のみだ。

【午後】

記者: 午前中は「抗議は事実と違う発言をした社のみ」とのことだったが、(東京新聞首相官邸が出した)抗議文には表現の自由(にかかわる内容)に及ぶものが多数あった。わが社以外にもこのような要請をしたことがあるのか。今後も抗議文を出し続けるつもりか。

長官: この場所は質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではない。明確に断っておく。「会見の場で長官に意見を述べるのは当社の方針でない」。東京新聞からそのような回答がある。

記者: 会見は政府のためでもメディアのためでもなく、国民の知る権利に応えるためにある。長官は一体何のための場だと思っているのか。

長官: あなたに答える必要はない。

(2019/02/27-16:59)

 これでは「質疑応答」というよりも記者が官房長官に「絡んでいる」だけである。素面(しらふ)でこんな絡み方をするのであるから、相当「質(たち)が悪い」と言わざるを得ない。

 望月女史は、会見を通して、国民が知りたいことを官房長官から引き出すというよりも、官房長官をやりこめているところを国民に見せるための「演技」のように思われる。野党が囃し立てるのもさらなる演出効果を狙ったものであろう。

 このような独善的な「質疑」が国民の知る権利に寄与するどころかむしろ邪魔をしていると言うべきではないだろうか。