保守論客の独り言

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日大アメフト悪質タックル問題(1) ~前監督ら「嫌疑なし」は「理不尽」か~

《日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、警視庁は5日、内田正人・前監督(63)と井上奨(つとむ)・元コーチ(30)に「容疑はない」とする捜査結果の書類を東京地検立川支部に送付し、発表した。傷害容疑で両氏の告訴状が出されていたが、試合映像の解析や部員ら関係者への聴取結果などから「タックルをした選手との共謀や選手への教唆の事実はなかった」と判断した》(朝日新聞デジタル 2019年2月6日05時00分)

 この件に関しては、昨年11月14日付のブログで既に取り上げているが、新たな情報が出てきたので確認しておこう。

《警視庁は関係者計195人への聞き取りをした。捜査1課によれば、関東学生アメフト連盟(関東学連)と日大の第三者委員会の調査は、日大の部員らへの聞き取りなどから両氏の指示があったと認定していたが、この調査に応じた部員の多くが警視庁の調べに「報道を見て(タックルした)選手のためになんとかしなくてはいけない、選手の話に沿うように証言しなくては、と思った」などと説明。指示を直接聞いた人は確認されなかったとしている》(同)

 悪質タックルを行った選手を庇(かば)うために虚偽の証言をしたということである。この証言が判断を狂わせたことは否めないだろうが、前監督、元コーチの言い分は門前払いにして、一方的に選手たちの証言だけを信じてしまった人たちはやはり軽率だったと言わざるを得ない。

《試合映像での両氏の顔の角度や場面ごとの立ち位置などの解析でも、関東学連などの認定との食い違いが約10カ所見つかった。「内田氏が悪質タックルを見ていたのに選手を交代させなかった」との指摘については、内田氏は見ていなかったことなどを確認した》(同)

★警視庁が認定した主な事実

(1)前監督は3回の反則行為のうち、1、2回目の悪質タックルを見ていなかった

(2)「やりましたね」(前コーチ)、「おお」(前監督)とのやり取りはなかった。証言した選手の勘違いと判明した

(3)前監督のインカムは不具合だった。前コーチは別のコーチとインカムで会話していた

(4)前監督のポケットにはスタメン表が入っておらず、出場選手を詳しく把握していなかった

(5)前監督が試合後、記者に「私がやらせた」と話したのは、悪質タックルとは別の3回目の反則行為についてで、選手をかばう発言だった

(2019年2月6日 東京新聞朝刊)

 警視庁の捜査結果について、日大の第三者委員会の勝丸充啓委員長(元広島高検検事長)は

「指示がない限りあのようなプレーはできない。到底理解できない」(朝日新聞デジタル、同)

と言う。が、指示を誤解してあのようなプレーに至ったと考えることは十分に可能であり、第三者委員会がこのような思い込みで前監督などから指示があったと決め付けたのだとしたら、それこそ問題ではないか。

 前監督が悪質タックルを見ていなかったとした点についても

「(反則で受けた)15ヤードの罰退(陣地の後退)を知った時になぜ監督は選手に何も言わなかったのか説明がつかない」(同)

と述べている。

 なるほど悪質タックルを見ていれば注意できただろうし注意すべきであった。が、見ていなかったのだとしたら、選手に注意しようにも注意できるはずがない。【続】