保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

文大統領の徴用工発言について(2) ~文大統領の読み違い?~

《今日の謀を爲すに、我國は隣國の開明を待て共に亞細亞を興すの猶豫ある可らず、寧ろ其伍を脫して西洋の文明國と進退を共にし、其支那朝鮮に接するの法も隣國なるが故にとて特別の會釋に及ばず、正に西洋人が之に接するの風に從て處分す可きのみ。惡友を親しむ者は共に惡名を免かる可らず。我れは心に於て亞細亞東方の惡友を謝絶するものなり》(「脱亞論」:『福澤諭吉全集 第10巻』(岩波書店)、p. 240

(現在の戦略を考えるに、わが国は隣国の開明を待ち、共にアジアを発展させる猶予はなく、むしろその仲間から離脱し、西洋の文明国と行動をともにし、支那・朝鮮への接し方も、隣国だからということで特別扱いせず、まさに西洋人が接するように対処するだけである。悪友と親しくする者は悪評をまぬかれない。私は心の中で、東アジアの悪友を謝絶するものである)

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 このようなことが続くのなら「国交断絶」という選択もあり得るとしなければならない。駐韓大使の召還といった強い意思表明を具体的に行動で示すことも否定すべきではない。

《1965年の日韓基本条約とこれに伴う請求権協定を両国関係の基盤ととらえていないのだろうか。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が新年記者会見をした。徴用工問題については「日本の政治家らが政治争点化するのは賢明ではない」と批判した。

 そもそも日本の植民地支配に起因した問題であり、日本政府には謙虚さが必要だという。そのうえで、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決はあくまで司法判断であり、韓国政府は尊重すべき立場にあるとの認識を示した。

 三権分立の原則に従うべきだと主張したいのだろう。しかし、植民地時代の歴史問題であると強調するなら、これを清算して前進したはずの65年体制をどう考えているのか。問題解決に正面から向き合っていないと言わざるを得ない》(111日付毎日新聞社説)

 韓国の三権分立は韓国内の話でしかない。日本にも韓国の司法判断を尊重せよと言うのはお門違いも甚だしい。

 そもそも三権分立は「抑制と均衡」の上に成り立つものであって、司法判断を尊重するかのように見せて、実際はこれを外交に利用しようとするのでは、かのモンテスキューもあの世でさぞお嘆きのことだろう。

《いままず求められているのは、この問題に関する韓国政府の明確な態度を示すことである。日韓は、1965年の基本条約や請求権協定を礎石として、信頼と協力を深めてきた歴史を忘れてはならない。

 徴用工問題をめぐって韓国政府は盧武鉉ノムヒョン)政権以来、協定当時の経済協力金に事実上の補償が含まれるとする見解をとってきた。それとは異なる大法院の判断に、どう向き合うのか》(111日付朝日新聞社説)

 おそらく文大統領に読み違えがあったのだろう。強く押せば、これまでのように、日本が折れるものと思っていたのではないか。また、朝日新聞のような韓国に友好的な日本の新聞もある程度は韓国の後押しをしてくれると踏んでいたのではないか。その当てが外れてしまった。だから二進(にっち)も三進(さっち)も行かなくなってしまったのだと思われる。【続】