保守論客の独り言

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大阪都構想でダブル選? ~大阪維新の会のジレンマ~

大阪維新の会の代表と政調会長をそれぞれ務める松井一郎大阪府知事と吉村洋文・大阪市長が、任期満了を待たずにそろって辞職し、来春の統一地方選に合わせて「ダブル選」を実施する可能性を示唆している。

 発端は、大阪都構想を問う住民投票の日程を巡り、公明党との協議が決裂したことだ》(20181229日付朝日新聞社説)

 大阪を立て直すには都構想しかないないのだろうか。

 大阪府知事大阪市長が共に大阪維新の会の人間であれば、「府市あわせ」(不幸せ)にはならない。最大の問題としてきた「二重行政」の問題も話し合いで解決していくことも可能であろう。

 それでも大阪市を無くし、府と市を統合して大阪都を創らなければならない理由は何か。残りは、統合することによる効率の良さのようなことになるのであろうか。が、効率を追求すれば非効率は排除される。非効率な住民サービスはカットされる。

 本来この部分が1つの焦点とされるべきであって、1つひとつ廃止すべき非効率な住民サービスと非効率であっても廃止すべきでない住民サービスの点検作業が必要なはずである。この作業を取っ払って、大阪都を創ることで一気に住民サービスを効率化しようと目論んでいるのだとすれば、それはあまりにも丁寧さを欠くと言わざるを得ないし、横暴の誹(そし)りは免れぬと思われる。

 問題となっている大阪維新の会公明党との密約には私はあまり関心がない。関心がないというよりも私はこのようなことを感心しない。

《松井氏はきのう、昨年4月に維新と公明が交わした「今任期中で住民投票を実施する」とする合意書を記者会見で公表し、「約束がほごにされ続け、信頼関係がなくなった」と主張した。公明とは衆院選選挙協力をしてきたが、一転、公明への批判を鮮明にした》(20181227日付毎日新聞社説)

 密約の存在を大っぴらにしてまで物事を進めようとする大阪維新の会の下品なやり方は寒心に堪えない。

 万博誘致にしても、側(がわ)だけの話である。開催中は大阪を訪れる人たちがお金が落とすのかもしれないが、万博が終われば終わりである。持続性がない。中身でなく大阪の住民や企業自体が変わらなければ何も変わらない。中身を作るのは非常に難しい課題ではある。が、住民や企業の考え方、活動の仕方が変わらなければ根本は変わらないし、変わりようがない。

 今大阪は、政権を担う大阪維新の会が日々頑張れば頑張るほど「大阪都」の必要性は薄まるという構造にある。大阪都を実現するためには、このままでは大阪が駄目になると住民に思わせるなければならない。そのためにはむしろ頑張らない方が良い。府と市が協調せずいがみ合い、非効率な住民サービスを手厚くすればよいのだがそういうわけにもいかない。大阪維新の会は現在「ジレンマ」に陥っている。その焦りが今回のごたごたの裏にあるように思われる。