一燈照隅(池内昭夫の日記)

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フリージャーナリスト安田純平氏解放について

《内戦下のシリアで武装勢力に拘束されていたとされるフリージャーナリスト、安田純平さんが解放された。

 行方不明から、約3年4カ月を経ての消息である》(10月25日付産經新聞主張)

 普通であれば「よかった」ということになるのであろうが、今回の件は普通ではない。というのは、安田氏は、2003年にイラクで「人間の盾作戦」に参加した際にも、イラク軍に拘束され解放、その後また拘束・解放を繰り返した経験を持ち、外務省からもシリアへの渡航を自粛するように要請されていたからである。

 にもかかわらず、

「日本は…世界でもまれにみるチキン国家だ」(2015年6月20日付自身のツイッター

などと嘯(うそぶ)いてシリア入りし、案の定拘束されてしまった。まさに「飛んで火に入る夏の虫」であり、「自業自得」「自己責任」という話が出てくる理由もここにある。

 おまけに安田氏はシリア入国の際、韓国籍のパスポートを使ったという噂がある。本当のところは分からない。が、これが本当だとすれば、日本は二重国籍を認めていないから、安田氏は少なくともこの時点で日本国籍を喪(うしな)ったことになる。

 であれば、安田氏が拘束されている映像で「私の名前はウマルです。韓国人です」と言っていたのも頷(うなず)けるし、安田氏が拘束されても、菅義偉官房長官が、「政府としていろんな情報があることは承知しているが、邦人ジャーナリストが拘束されているとの情報には接していない」と述べた理由も解る。

《危険を承知で現地に足を踏み入れたのだから自己責任であるとし、救出の必要性に疑問をはさむのは誤りである。理由の如何(いかん)を問わず、国は自国民の安全や保護に責任を持つ》(同、産經

と言うのは本来その通りなのであるが、今回の場合、私には綺麗事に聞こえてしまう。まして、

《テロリストを直接の交渉相手としない。身代金は払わない。これはテロと戦う大原則である。

 テロに屈すれば新たなテロを誘発する。身代金は次なるテロの資金となり、日本が脅迫に応じる国と周知されれば、日本人はまた次の誘拐の標的となる。原則は堅持されなくてはならない》(同)

とまで言いながら、菅官房長官が国際世論を慮ってであろう、

《「身代金を払った事実はない」》(同)

と述べたことを間に受けているようでは、甘いと言われても仕方がない。

 産經主張子は<テロに屈してはならない>と表題に書く。が、頼まれもしないのに、否、それどころか、行かないよう要請しているのに、

「いまだ危ない危ない言って取材妨害しようなんて恥曝しもいいところだが、現場取材を排除しつつ国民をビビらせたうえで行使するのが集団的自衛権だろうからな」(2015年6月20日付自身のツイッター

と大口を叩いて、わざわざ紛争地帯に足を踏み入れ拘束されるのを「テロ」と呼んでよいのであろうか。

テレビ朝日解説委員の玉川徹氏は…10月24日の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、紛争地帯に飛び込むフリージャーナリストの役割の大きさを力説。安田さんを「英雄として迎えないでどうするんですか」と主張した》(J-CASTニュース 10/24(水) 16:56配信)

 一体どんな<英雄>なのだろうか。

《フジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」はジャーナリスト・安田純平さん(44)がシリアの過激派組織から約3年4か月ぶりに解放された話題を特集した。

キャスターの安藤優子(59)は安田さんがイスタンブールに向かう機内の中でNHKの取材に対し「あたかも日本政府が何か動いて解放されたかのように思う人がおそらくいるんじゃないかと。それだけは避けたかった」などと語ったことを疑問視した》(東スポWeb 10/26(金) 16:08配信)

 解放冷めやらぬ間に、命の恩人たる日本政府を侮蔑するような人間が日本人だとは私にはとても思われない。