一燈照隅(池内昭夫の日記)

~天邪鬼(あまのじゃく)の独り言~

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消費税率10%への引き上げについて(3)~軽減税率は将来の消費増税への布石~

《日銀の試算では、消費増税に伴う家計の負担増は、5%から8%になった際は8兆円だったが、今回は約2兆円にとどまる。引き上げ幅が小さい上に、食品と定期購読されている新聞に、8%の軽減税率が適用されるためである》(10月13日付読売新聞社説)

 これは誤魔化しだ。今回の家計の負担増は前回の4分の1だから大したことはないというのは、言い換えれば、今回の増税では税収が足りず、近々さらなる増税が必要だということを意味する。

《消費税率が20%前後の国が多い欧州では、軽減税率が定着し、国民の重税感を和らげている。

 日本も税率10%では、増大する社会保障費を支えきれない。さらなる引き上げは避けられまい。将来に備えて、軽減税率を滞りなく導入することが大切だ》(同)

 消費税率が将来的に欧州並みに20%程度になったとしても、軽減税率が導入されていれば重税感が和らげられる。つまり、軽減税率の導入は、将来的に消費税率を欧州並みに引き上げるための「布石」だということである。このような計略のある中で、軽減税率導入は有難いと思うのは間抜けである。

 庶民が重税感を抱かないようにして、つまり、庶民が増税に対し反発しないように税体系を複雑にして増税しようというのが政府財務省の思惑である。増税の根拠は日本が借金大国であるという「嘘宣伝」にある。日本は借金大国だから増税も仕方がない、食料品には軽減税率を適用してくれるのだから有難い、と多くの国民が洗脳されてしまっていやしないか。

 定期購読されている新聞に軽減税率が適用されるというのも政府の批判を抑え込むための策略であろう。新聞が今回の増税にどちらかといえば好意的なのもそのような裏事情があるのではないかと勘繰られる。

《過去には、消費増税前に買い物を済ませる「駆け込み需要」が盛り上がり、増税後に反動による消費低迷が長引く例が多かった。

 こうした教訓を踏まえ、政府は増税ショックを緩和する経済対策を打ち出す方針だ。住宅購入の助成拡大や自動車課税の軽減などが柱になると見られる》(10月16日付読売新聞社説)

 どうして<住宅購入の助成拡大や自動車課税の軽減などが柱>になれば、<増税ショックを緩和する>ことになるのだろうか。住宅や自動車関連産業が冷え込めば経済に与える影響が大きいという毎度お馴染みの論理なのである。が、何時もいつも日本全体に与える影響が大きい産業だけを特別扱いするのはまさに「依怙贔屓(えこひいき)」でしかない。

 むしろ体力のある大企業こそが政府の助けを借りずに自ら対策を講じるべきであり、また講じることが出来得るはずなのに、体力のない中小企業に皺寄せが来るような「対策」は本当の意味での対策とは言えないではないか。【了】