保守論客の独り言

社会の様々な問題に保守の視点で斬り込みます

消費税率10%への引き上げについて(1)~「ハーメルンの笛吹き」に導かれて落ち込む日本経済~

《安倍首相が15日の臨時閣議で、消費税率を来年10月1日に8%から10%へ引き上げる考えを正式に表明した。

(中略)首相が予定通り消費税10%を実施する方針を示したことは評価できる。

 高齢化で増大する社会保障費を支えるには、景気に左右されにくい消費税の税率引き上げが避けられない。子育て支援など、若年層向けの社会保障を充実させるためにも、新たな財源が要る》(10月16日付読売新聞社説)

 概(おおむ)ねどの新聞社も消費税率引き上げに賛成している。

《消費税は高齢化で増え続ける社会保障費の安定財源である。今は多くを借金に頼り、将来世代につけ回ししている。これに歯止めを掛けるため増税は避けて通れないものだ。

 そうした観点から増税を予定通り行うのは妥当だ》(10月16日付毎日新聞社説)

《安倍首相は景気などに配慮し、2度にわたって増税を延期した。だが消費税は少子高齢化を背景に急増する社会保障費を支えるための重要財源である。将来世代に対する無責任なつけ回しを防ぐためにも、現在の世代が一定の負担増を受け入れるのは避けられまい》(10月16日付産經新聞主張)

 が、私は「財政健全化」に呪縛された税率引き上げは間違いであると思っている。そもそも日本は1千兆円以上の負債を抱えた大借金国であるというのが「嘘宣伝」なのである。借金1千兆円の話は単式簿記的に負債の部分だけを見ているだけで、複式簿記における資産の部分を見ていない。こんなまやかしがどうして流布し続けるのか不思議である。

 また、税率を上げることではなく税収を増やすことが重要だということも忘れられてしまっている。税率を上げても消費が冷え込めば税収は伸びない。つまり、税収を増やそうとして、税率を上げ、消費を冷え込ませ、景気を悪くしては元も子もないのである。

 私は、税率を引き上げることが正しいことであるかのように言う政治家もマスコミも「ハーメルンの笛吹き」のように思えてならない。彼らの言うことを間に受けて消費税率を上げてしまっては日本経済は失速する。

 消費増税すれば、国民の使えるお金がその分減るのであるから消費が冷え込むのは当然である。よく増税前の駆け込み需要の反動で増税後景気が落ち込むかのように言われるが、そういう一時的な話よりも、増税は消費を落ち込ませるという本質が隠されてしまっていることに国民は早く気付くべきだ。

 景気が落ち込むのが分かっていながら増税に踏み切ろうとするのは、政治家、財務省、マスコミ等々それぞれに何か「裏事情」や「思惑」があるからであろうと思われるのである。【続】