保守論客の独り言

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沖縄県知事選結果について(2)~辺野古移設の賛否を明らかにしない佐喜真氏の卑怯~

宜野湾市の市街地に囲まれた普天間の危険性を取り除く上で移設は待ったなしの課題である。同時に在沖縄の米海兵隊は、北朝鮮や中国などを見据えた日米同盟の抑止力の要である。

 抑止力の維持と基地の安全性の確保を両立させるには、辺野古移設が唯一現実的な解決策だ》(産經新聞主張)

 中国やロシアの侵略慾を抑えるために、日本の安全保障には在日米軍を欠くことが出来ないというのが残念ながら現実である。憲法9条を改正して(私なら日本国憲法は廃棄して)、名称はともかく「国防軍」によって日本を主体的に防衛できる体制が築けなければ、日本から米軍基地はなくすことは出来ない。が、このような体制作りは、現状では「行うは難し」どころではなく殆ど絶望的ですらある。

 そのような中で<辺野古移設が唯一現実的な解決策だ>というのはその通りであるにしても、それはただ一時凌ぎに過ぎず、中長期的に在沖縄米軍基地をどうするのかについてまったくといって聞かれないのが問題なのである。

《国と県の対立を再燃させて移設が滞れば、周辺国が日米同盟が動揺しているとみなす恐れがある。抑止力低下と普天間の固定化は望ましくない》(同)

 現実問題としてはその通りなのであるが、将来的な見通しが何もなしにただ辺野古移設はやむを得ないとだけ言っても片手落ちであろう。

 さて、今回の知事選の争点は、言うまでもなく辺野古移設の是非であるはずだが、佐喜真淳氏はこの問題を回避した。

《名護市辺野古沖への米軍普天間基地宜野湾市)の移設について、県政の与党会派や国政の野党4会派が支援する玉城氏は反対を明言した。一方、政権与党の自民と公明が推す佐喜真氏は賛否を明らかにしなかった。

(中略)

 佐喜真陣営は自民党三役が応援組の指揮を執るなど、政権与党を挙げての態勢となった。移設の議論を避け、経済振興を掲げて国とのパイプを訴えた》(神戸新聞社説)

 これほど不可解な話はない。辺野古移設を進めるためには、県民の支持が必要である。選挙戦において辺野古移設の意義を唱え県民を説得することから逃げるのは卑怯な選挙戦略である。県知事になったら白紙委任を得たかのように辺野古移設を粛々と進めるという算段であればそれは詐欺である。

《玉城氏を推した野党は、辺野古への移設計画について、「違う解決策を模索する」と反対する。具体的な案を示さずに普天間返還を実現するという主張は、かつての民主党の鳩山政権と同じで、無責任のそしりを免れない》(読売新聞社説)

 野党に対案を示す実力がないのは民主党の鳩山政権時に実証済みである。であるからして、対案を示さなければならないのは政府与党側であるという認識が必要なのではないか。不毛な対立をいつまでも続けていてもお互い不幸でしかない。【続】