保守論客の独り言

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自民党総裁選討論会(1)~自衛隊は軍隊なのか~

14日行われた日本記者クラブ主催の公開討論会を見てみたい。

自衛隊は軍隊なのか」を巡り、安倍晋三首相(総裁)と石破茂元幹事長は次のように意見を戦わせた。

安倍「石破さんは、今の政府の憲法解釈と国際法との関係について『誰にも分からない』『世界に通用しない』と強く批判しているわけであります。そこで、例えば『自衛隊憲法における軍隊ではない』という考え方を私たちは取っている。(自衛隊は必要最小限度の)『実力組織』という考え方を取っていますが、国際法的には軍隊であるという立場をとっている。これに対しても批判されています。もし石破氏が首相になったときには、自分のご主張に合わせて直ちに変えるお考えがあるかどうかということであります」

石破「私も学校で憲法を学びました。『陸海空軍その他の戦力はこれを有しない。国の交戦権はこれを認めない』。(憲法9条)第2項です。じゃ、陸上自衛隊は何だ? 海上自衛隊は何だ? 航空自衛隊は何だ? 必要最小限度だから戦力ではない? 何をもってして、必要最小限度というのか。その判断基準が分からないということです。そして今、総裁がいみじくもおっしゃったように国際的には軍隊、国内的には違う。では、一体、何なんだということが分からないままに、ずっとこれが続いていると私は思います」

 「名称は国民が愛着を持ち、親しみを持っていただいている『自衛隊』のままでちっとも構いません。ですけれど『必要最小限度だから戦力ではない』という考え方はかえって国民の理解を妨げるものだと思っています。国内においては違うが、国外においては軍隊だ。そのような議論は国際的に全く通用するものではありません。そういう立場に自衛隊を置いていいと思わないんです。それをきちんきちんとご説明して、日本国の独立を守る。そして国際法にのっとって活動する。そのことを明確にする。その説明をすることが、私は自民党の責務だと思っております」(産経ニュース「自民党総裁選討論会詳報」(4)2018.9.14 12:12)

 石破氏の言っていることは「正論」である。国際的には「軍隊」という立場をとりながら、国内的には「軍隊」ではなく「必要最低限度の実力組織」などと言い換えるのが通用するわけがない。が、これを解消するためには9条を根本的に変えねばならず、憲法改正に必要な国民の過半数の賛成を得るのは現状では相当難しいと思われる。一方安倍氏が言うように9条の1項、2項はそのまま残し9条の2に自衛隊保持を明記する形の改変であれば可能性は十分にある。つまり、石破氏の主張は正論ではあるが理想に過ぎ、安倍氏の主張は邪道ではあるが現実的であると言えるだろう。

 このような言い方をすれば私が安倍氏の主張を支持しているかのように受け取られるかもしれないが、私の主張は敗戦直後GHQによって押し付けられた国際法違反の「米製憲法」などとっとと廃棄して、日本の文化伝統に相応しい憲法を採用すべきだということである。日本は革命国家や新興国家とは国の成り立ちが異なり長きに亘る文化伝統があるのであるから、それに基づいた英国流の「不文憲法」でいくべきだということである。

 その意味で、私は今言われているような小手先の改正論には安倍氏のであれ石破氏のであれ賛成することは出来ないのである。(続)