一燈照隅(池内昭夫の日記)

~天邪鬼(あまのじゃく)の独り言~

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台風21号で関西を襲った高潮について

《台風が4日午後に通過した大阪湾では、湾奥ほど最大潮位が上昇。最大3メートル前後の高潮が沿岸各地を襲っていたことが分かった。気象庁大阪府内に設置した記録計によると、大阪市で最大潮位329センチを観測し、死者194人を出した第2室戸台風(1961年)時の過去最高潮位293センチを更新。関西国際空港では滑走路やターミナル周辺が浸水した》(毎日新聞2018年9月5日22時30分)

 この今回の高潮に関しおかしなことを言っている学者がいる。

《台風21号の観測データを基に日本近海や大阪湾の最大潮位を解析した地図を、京都大防災研究所の森信人准教授(沿岸災害学)らの研究チームが作成した…森准教授は「第2室戸台風級の高潮が大阪湾で発生する確率は推定140年に1回程度。今回はそれと同等クラスだ」と分析している》(同)

 第2室戸台風が57年前だから60年に1回程度というのなら分かるが、どうして140年に1回程度ということになるのか。

 それはさて措き、今回の高潮を「想定外」と考える向きがある。が、57年前の第2室戸台風の時も同様の高潮が起こっているのであるから、それを「想定外」などというのは余程想定する頭が弱すぎると言わざるを得ない。

《強い地震があれば誰もが津波を心配する。大阪や東京などの都市型災害では、河川の氾濫や集中豪雨などによる冠水、地下街の浸水への危機意識は広まりつつある。しかし、台風で潮位が盛り上がる高潮や、強風で波が押し寄せる高波について警戒する人は多くない。関西空港の滑走路の冠水や、大阪湾岸でのコンテナの流出、防潮門扉の破壊や沿岸住宅地への浸水など、大阪や神戸で台風21号がもたらした一連の高潮・高波被害は、専門家の間では広く認知されていても、一般的にはあまり関心が向けられない盲点だった》(『AERA』2018年9月17日号)

 <盲点>では決してない。高潮被害については台風が通過するごとに報道されていたことである。が、これまでは今回ほど被害がひどくなかったので気に留めていなかっただけである。痛い目に遭わなければ自分事として受け止められない。悲しいかなそれが人間の性(さが)である。

 が、それでは許されないことは多々ある。だから「教育」というものが存在するのである。経験したことがないことでも、想像することは可能である。例えば、理科の授業において、高潮がどのような仕組みで発生するのかを指導することは可能である。高潮に関する知識がなかったとすれば、それは理科指導の失敗にある(高校入試に高潮に関する問題が出題されているのを目にしたことがあるから中学理科の指導範囲だと思われる)。

 が、教育の失敗というのは少し教師に酷であろう。やはり、日常的なマスコミなどの注意喚起を自分事として真剣に受け止めることが出来なかったことが、高潮においても洪水の避難においても問題だったのだと思われる。

 それが日本を続けざまに襲った自然災害からの教訓だったのではないだろうか。

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(9月10日追記)